永沢トムのブログ

日々の生活で感じたこと、映画、小説などの感想。

時計じかけのオレンジ『アート』 スタンリー・キューブリック 

こんにちは。

今回は「完璧主義者」で有名なスタンリー・キューブリック監督作品、時計じかけのオレンジです。

その独特な世界観やファッション、ところどころで現れる暴力シーンなど、一度見たら忘れられない作品であり、良くも悪くも見るものにトラウマを植え付けるような内容となっています。

 

映画の説明 

舞台は荒廃した近未来であり、主人公を始めとする登場人物や街行く人々は原色を多用したうるさい服装をしている。

また、この作品を象徴する二つの音楽としてベートーヴェンの第9と「雨に唄えば」がある。どちらも音楽として聞くと非常に美しく、胸が踊るものであるが、この作品を見た後はその印象が大きく変わってしまうだろう。

 

感想 「アート」

私がこの作品を見終わって受けた感想はこれまでに味わったことのない想像もしていなかった「アート」を見た、というものだった。冒頭のアレックスの目のアップと荘厳な音楽とともにスタートし、天国のような場所と荘厳な音楽で終わるこの映画はまさに映画という表現方法の利点を最大限生かしている新しいアートだ。他の表現方法とは異なり、映像、音楽、脚本この3つが混ざり合い、1つ1つでは決して表現することのできないものを生み出している。特に映像という点で、人々が想像できないようなグロテスクなシーンや性描写のシーンは小説よりダイレクトに、圧倒的に私たちの脳内に飛び込んでくる。近未来的な世界観と画面を覆う原色はそれらのシーンを現実的なものとは感じさせず、これはアートであるということを強調している。

そのバックグラウンドに流れる、美しく、強い音楽もそれらのシーンをアートへと昇華させている。

脚本としては自由放任と徹底的な管理の両立は不可能というジレンマを表現しており、その中で、この作品のアートの面を強調するグロテスクなシーンや性描写を加えている。

アレックスの演技も素晴らしく、完璧主義者スタンリー・キューブリックの優れたカメラワークもプラスし、完全にこの作品の世界に入り込むことができる。

 

Tom Nagasawa